あがの焼窯元 庚申窯(こうしんがま)

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7/9~7/15までの日記

2020.07.21

コウヅルユウタです。

この日記は庚申窯のオンラインショップ

「くろつる屋」のブログを

1週間分まとめたものです。

 

 

7/9 鍋の器と取手付けの話

7/10 車とバッテリーの話

7/11 レストランのお皿と思い出の話〜リングとマド〜

7/12 湿気とろくろでの器作りの話

7/13 自由業と休みの話

7/14 Tシャツとロゴの話

7/15 ロゴとTシャツの話

 

ロゴのところで旧字と言っていますけど、よく考えたら篆書のことでしたね。日常では絶対に使わない漢字ですな「篆」。てんしょ と読みます。ハンコの文字とかによく使われる左右対称っぽい字ですね。

 

 

くろつる屋の方もよければ覗いてやってください。

こっち↓の方が確実に読みやすいですよ。

 

 

 

7/9 鍋の器と取手付けの話

 

7月9日 くもりときどき晴れのち雨

本日のBGM Alejandro Camara

 

今日は取手をつける作業がありまして、相変わらず取手をつけるのは時間がかかるなあ めんどくさいなあ やりたくないなあと思うのですが、今日取手をつけてたのはこのようなカップでした。

 

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これはまた鍋用のやつなんですけど、前回作ったものがどうも小さかったようで、大きく作り直しています。私はビールグラスとか湯呑みでも小さめが好きなので、手に持つ器は小さくなりがちなのですが、鍋の野菜とかけっこうでかいということで、口を広く、出汁が溜まりやすいよう底を絞った形にしています。

 

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まず取手をつけるには高台を削る必要があるんですけど、手前が高台を削ったもので、奥の「削り台」に逆さまにかぶせられているものが削る前のやつですね。

 

 

削り台の一番上には粘土が貼り付けてあって、その粘土の摩擦のおかげで、削り台を回転させた時に器も一緒に回って 高台が削れるんですけど、その貼り付け粘土が乾かないように、取手をつける間は 次に高台を削るやつをかぶせて乾燥を防いでいます。

 

 

普通はまず全部の高台を削り終わってから、次に取手をつける作業だけに取り掛かるのですが、私の場合は一つずつやるので、そのように削り台が乾燥しないようにしています

 

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これが今回の取手ですね。器がでかいし、中に入れる食材でまた重くなるので、指が2本入る形にしてるんですけど、ちょっと耳っぽい感じで 途中にくびれがあるのは薬指が当たる部分です。

 

 

2本指で持つ取手の場合は 薬指の受けがちょうどいいと、体感の重さがかなり変わってくるので、今のところ この形状がいいんじゃないかなと思っています。

 

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取手の下側はあらかじめ長く作っているので、押し潰して短くします。この時に本体との接地面積が大きくなるようにしておきます。

 

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取手と本体との接着剤の役割を担うのが 同じ粘土でして、このドロドロの泥のことを庚申窯では「ドベ」と言っておりますが、いかにもドベって感じしますよね。

 

 

ドベに水分が多いと接着剤として弱いので、なるべくドロドロが良いです。でも滑らかなドロドロが良いです。均一ドロドロで。塊があるようなドロドロは良くないです。

 

 

今までこれを塗るのに筆を使っていたんですけど、歯ブラシがあったので使ってみたらなかなか使い勝手が良くてですね、これからは歯ブラシで行ったろかと思っております。

 

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歯ブラシのいいとこは粘土に傷をつけて、ドベが付着する表面積を増やしてくれることと、毛が強いのでガシガシ洗っても大丈夫だというところです。筆にドベが残ったまま乾くと、それを解きほぐすだけで毛がバンバン抜けて行きますから、この作業には丈夫な歯ブラシがいいんじゃないかしら。

 

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取手にたっぷりドベをつけてしっかり押し付けます。はみ出すくらいでちょうど良いです。この時にドベが少なかったり、取手や本体が乾きすぎていると、取手がポロっと落ちやすくなりますので、ちょい柔らかめの時にぎゅうぎゅうに押し付けましょう。

 

 

この時に本体が薄造りだと歪んだり破れたりするので、その辺がジレンマですね。やっぱり厚みがある方が丈夫で取手もくっつけやすいけど、重くなってしまいますからね。

 

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はみ出た余分なドベを 木のナイフで取り除きつつ、取手と本体の境目を潰します。これをしっかりやらないと境目にヒビが入りやすくなります。

 

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その結果がこう↓なるんですけど、まだ終わりではなくて

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取手はなるべく重心に近い方が良いので、取手と本体の距離を近づけます。

 

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下の部分をギュギュッと押しつぶしながら曲げて、本体に近づけてこんな感じになります。この時に下の部分を曲げて縮めるのは、曲げた方が強度が上がりそうだからです。なんか平板よりもトタン板の方が強いみたいに。直線よりも波で。

 

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指を合わせるとこんな感じですね。まだ取手も本体も柔らかいので取手を持ち上げてチェックすることができないのですが、取手の角度によって手首の返り具合も変わるので、その辺もすごくちょうどいい角度っていうのがあるんですよね。これがそうかはわからないんですけど。

 

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取手付きの器は乾燥を急ぐと歪んだりするので、発泡スチロールの中で じわじわ乾かします。取手と本体の乾き具合を整えるためでもありますね。こんな感じで取手付きのやつは作られます。

 

 

7/10 車とバッテリーの話

 

7月10日 くもりのち雨

本日のBGM スーパー・パンプキン

 

今日は地元の信用金庫に用事があったので出かけまして、田舎で何処かへ行くというのは車に乗るということを意味するのですが、エンジンをかけたらバッテリーが上がってまして、いつも乗るのは久々だからその度にバッテリーが上がってて、

 

私はバッテリーが「上がる」という言葉の由来も知らないまま、このバッテリーが上がった状態に慣れっこになっているのですが、

 

エンジンが かからないからって別の車で出かけると、これでまたさらにバッテリーがダメになっていく ということなので、巨大な洗濯バサミみたいな赤と黒の電極クリップで他の車のバッテリーと繋いで、その電力でエンジンを回すという作業をやらねばならないのですが、慣れてはいるけど大変に面倒な作業でございます。

 

 

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そもそも1週間に一度は車に乗らないとダメということだそうですが、この1週間に一度というのが私のような出無精の人間には なかなか難儀なものでして、車のドアポケットにあった、前回 給油した際のレシートを見たら日付が4月24日で、ガソリンメーターの方を見たらまだ半分以上ありまして、それはバッテリーも上がってしまいますなあ。

 

ちなみに4月24日はブログを見返してみたら椿もち病を知った日でした。

 

 

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車による人生の幸福という幻想があったアメリカングラフィティ的な世代との端境期には、価値観のギャップによる こういった不幸な状況が生まれるのね、やはり私は周囲の人々による

 

「田舎では車がなければ何もできない」などという蒙昧な車信仰による圧力をハネ除けて、坂東英二先生を信じてタクシーと友達の車だけで生きていく道を選べばよかったのではなかろうかしらん、などと思いつつ信用金庫へと向かいまして、

 

信用金庫での用事が終わって 次の目的地ホームセンターへ行こうとエンジンをかけましたら またバッテリーが上がってましてね、信用金庫までの道のりは半分近く下り坂だったからバッテリーがチャージされなかったのかしら、と思いつつ赤黒洗濯バサミは持ってきていましたので、

 

信用金庫の隣にある商工会におもむいて、そちらの方達には普段お世話になっているので、この際もついでにお世話になりまして、車を横につけてもらって、洗濯バサミで繋いでエンジンをかけることができたのですが、「バッテリー上がってる人 久々に見た〜 珍しい〜」というお褒めの言葉をいただきました。

 

 

ここでまっすぐ帰れば何も問題はないのですが、でもそれではまた距離が短くてバッテリーがチャージされないのではないかしらん。ここはちょっと遠いホームセンターまで行くことでバッテリーも復旧するはず!ということでホームセンターへ。

 

 

ホームセンターで雑品を購入して外に出ると雨が降っていまして、ザーザーという擬音がぴったりな雨らしい雨、ちょっと歩くとびたびたに濡れそうなくらいの降り方でして、

 

ホームセンターだったら店員さんが多いから バッテリーが上がっても助けてくれるはず、という見込みもあって来たら、この通り雨とかではない感じのしばらく降り続きそうな感じの雨、そして私の健脚により建物からずいぶん離れた駐車場の真ん中に停めてしまった車、

 

となると店員さんも、電気系統のものですので ちょっと雨が落ち着くまで待ちましょうか、ということになって、私は雨が弱まるまでホームセンターに逗留しなければならない羽目になり、

 

いつまでも止まずにむしろ激しさをます雨の中、最初はうっとおしく思っていた店員さん達の見る目も、とある出来事によってお互いに心を開きはじめ、次第にほのかな友情が芽生えて、私はホームセンターのトムハンクスと戯称されることになるのではなかろうかしらん、

 

という妄想をしながらキーを回したら 一瞬もたついたものの無事エンジンがかかりまして、ざんざん降る雨の中 車で帰りながら、こんな雨でも濡れずに移動できるだなんて車って便利ね と思いました。

 

 

 

 

7/11 レストランのお皿と思い出の話〜リングとマド〜

 

 

7月11日 くもりときどき晴れ

本日のBGM Klang

 

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このお皿↑は前に個展をやったときに作ったもので、その時はアイデアだけの、実用性とかは低い コンセプトカー的な感じで考えたものですが、元々は「マド」というお皿がありまして、それがこれなんですけど↓

 

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このマドというお皿は確か 高さがありつつもあまり圧迫感がないように、向こう側が見えることで、お皿だけで作り上げる世界というよりは、周りの景色も取り込んで調和するようなお皿、ということで作ったものだと思います。

 

 

それでこの輪っか状の陶器に木を渡して、その上に置かれたものを手掴みで食べるというスタイルを想定してまして、

 

となると この木をもっと幅広いものに変えたら、1人一皿じゃなくて、2人で向かい合ってても、あるいは横並びでも、一皿で2人が同時に楽しめるんじゃないかと思いまして、輪っかの向こうに相手が見えたりしてね、

 

なんかそういう、食事相手との親和性を高める機能を持つこともできるんじゃないかしら、というようなアイデア段階の器です。

 

 

左上に切れ込みがあるのは明り窓の役割のためなんですけど、このスペースを使って花とかをはみ出させたりしたら 高さを意識させることができて、見た目のハッタリがきいたものにもなるんじゃないかしら。花器としてもお使いいただけますが、作るのが大変めんどくさい器でもありますね。

 

 

そのマドのお皿をもっとシンプルに、渡す板を長くしても使えるように、と考えて作ったのがこちらの「リング」になります。

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もうマドの時点でだいぶ怪しいんですけど、こっちのリングもお皿と呼ぶのが大変に憚られますね。お皿ではないですね。

 

 

リングは2つの輪っかを紐で結んで一組みにしたもので、この穴の中に板を渡すことで、マドとはまた違った楽しさがあるんじゃないかと思っています。まあこれも当時作った限りでアイデア段階のものですね。

 

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今回の写真のものは色がついていますが、真っ白なものもありまして、そちらを基本で考えていました。

 

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さっきのマドに対する優位な点としては、作るのが簡単ということと、収納スペースを圧迫しないというところです。マドの方はめちゃくちゃかさばりますので、天井に棒でも設置して ひっかけるとかしないと実用的な収納性が全くないんですけど、

 

こっちのリングは たためば1cmくらいになりますし、壁とかに掛ける事もできますので収納性は高いと思います。懸念としては、果たしてこれを陶器で作る必要があるのだろうか、ということですね。

 

 

リングを2組使うと長い板を渡して使う事もできます。この写真↓で渡してる板が普通の角材なので、そこは良い感じの木を使えばまた雰囲気も変わると思うんですけど、持ち運びも輪っかの部分を持てばわりと持ちやすいので、輪っかの部分を もっとシンプルな形にできれば意外と実用性はあるんじゃないかと思います。パーティー感出そうです。

 

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これをもっとシンプルにするなら、輪っかを紐で結ばずに、木の方に輪っかが噛み込むような彫りを入れて、カコッとハマるように作ったら、輪っか2つと木の板だけで、長さに関してはかなり自由度のあるお皿になるんじゃないかしら。

 

 

これを作った時もそれを考えましたが、木の細工がめんどくさそうだし、時間も足りなかったので、2つ1組案を採用しました。しかしこれは陶器で作る必要はあるのでしょうかね〜。でも暇ができたらシンプルな案を試してみたいですね。

 

 

せっかくなので くろつる屋のストックを置いているテーブルに飾り台として設置してみました。こういう使い方もできますね。

 

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やっぱりリングが2つ1組ってのが野暮ったいし、無駄になってるスペースも多いから左右一つずつのリングで板を固定できたら見た目として結構カッコ良くなるんじゃないかしら。いつかチャレンジしたいですね。

 

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7/12 湿気とろくろでの器作りの話

 

7月12日 雨のちくもり

本日のBGM サーカス

 

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今日も雨が降ってて、梅雨らしい天気ね とは思うものの、もうアジサイも花の時期が終わりだしていまして、既に半分以上のアジサイが父の手により刈り込まれてスッキリしていますが、

 

青系のアジサイだけで釉薬を作ったらいい感じになるんじゃないの、という私の目論見は、伐採されたアジサイが赤も青も一緒くたに積み上げれらているので、来年に持ち越される運びとなりました。

 

 

まあその他に優先しなければいけないことが多い上に、釉薬作りは結構大変なので いずれにしろやらなかったと思うんですけど、このやらなかった理由付けが大事というか、私の怠惰によりできなかったのではなくて、父がアジサイをごちゃ混ぜにしたから、

 

という風に 自らの過失を人のせいにすることで、罪悪感は薄れて心身の健康さを維持できるので、人のせいにするのは大変に効果的なメディカルケアだと思いました。

 

連日雨が降っていますので、この雨による湿気のせいで焼き物の方も乾きが遅くなっていまして、

 

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この丼とかも昨日作ったやつだから、通常なら翌日の朝にはひっくり返せるのですが、湿度が高いと次のステップに移るタイミングが1〜2日遅くなりますね。

 

 

こういう形なら湿度による影響もそんなにないんですけど、大きい平皿とかは湿度が高いとグニグニに歪んだりするので、この時期にお皿を作る際には注意が必要です。平皿みたいな形のものは腰が弱いから重力に負けちゃうんですかね。

 

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しかしいくら湿度が高くても、器たちはいずれ乾きます。乾いたらペーパーがけをするんですけど、サンドペーパーたちは「餅吉」というお煎餅屋さんの缶に入れています。

 

 

この缶は福岡県民なら一度はもらったことのあるお煎餅セットの缶でして、煎餅を缶に入れるのは湿気を防ぐためでしょうから、湿気に弱いサンドペーパーたちもこの缶と相性が良いと思います。まあ蓋がないのでほとんど意味ないんですけど。

 

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今日ペーパーがけしてたのはこの器たちでして、焼酎を飲む用、あるいは湯呑みにもできるような、という ギフトのオーダーのものなんですけど、とりあえず3パターンで作ってみてこのような違いになっていますが、この3つだと どれがいいんでしょうね。どれもそれなりにいいとは思っているんですけど。

 

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この形は汎用性 高いような気がするんですけど、暖かいお茶ではない気はしますね。アルコールっぽい形なのでしょうか。でも焼いてみたらまた印象が変わる事もありますから、とりあえず焼いてみなきゃですね。

 

ところでこの写真の器の削りを見ると、下から半分くらいまで、親指よりちょい上まで削り上げていまして、この削った部分がざらざらするから サンドペーパーをかけるんですけど、できる限りこの削り上げは無くしたいんですよね。

 

 

ろくろで作ったときに、その形が既に完成していたら、内側の高台だけ削って、このように側面を削る必要はないんですね。つまりこの側面の削りが多い分下手というか。

 

この器たちを作るときも、削り上げをなるべく無くそうと、かなり薄く作ったつもりだったのですが、どれもちょい重かったので、側面の余分な肉を削いで軽くすることになりました。

 

 

なるべく ろくろ で作った形そのままで出来上がるようにしたいんですけど、形はともかく重さまでコントロールして作るのがなかなか難しくてですね、

 

今回使った粘土は砂混じりのやつなので、ギリギリまで薄くしたぞ!って作って ようやくちょうど良い厚みだったりするので、そのギリギリの薄さで全体を形作る、という技術が私は未熟ですね。

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その反省で この↑丼を作る際も、削る必要がないよう、ギリギリで形作るよう心がけたのですが、いやはや難しいですね。お茶碗くらいだったらまだ出来るんですけど、大きくなるほど器作りは難しくなります。薄作りでカッコ良く作るのは難しいです。精進せねば。

 

 

7/13 自由業と休みの話

 

7月13日 くもりときどき雨

本日のBGM Vinicius de Moraes, Dorival Caymmi, Quarteto em Cy

 

今日の午前中は高台を削る作業なんかをしていたんですけど、午後はなんかだらだらとしていまして、だらだらタイムが3時間を超えたあたりで、「あ、これは今日休みの日だ!」と気づいて 引き続きだらだらしていまして、

 

私の場合、就労時間は完全に自分で決められるので、休みの日も自由に決められて、休みたい時に休むことができるんですけど、この休みたい時に休むというのが実はなかなか難しくてですね、この休日問題は自由業の人が一度はぶつかる問題なんじゃないかしら。

 

 

休もうとしたら「休んでもいいものだろうか」というのが頭をよぎるんですね。例えば友達との予定などが入っていたりしていれば、その日は心置きなく休めるんですけど、自分1人で休むとなると どうも気兼ねして 完全にリラックスしてないと言いますか。

 

 

というのも私の場合だと あらゆる仕事が遅れていますので、遅れているのに作業を止めていいのかしら、ということが頭をよぎり、いやー引き受けたものの もうずっと再制作にとりかかれずにいるなー申し訳ないなーという考えがさらに出てきて、休む際に軽く罪悪感を持ってしまうのです。

 

 

しかも遅れている理由も「もっといいものになるはず」と思って 作り直しているので完全に自分のせいでして、これは職人的なこだわりと言えば聞こえはいいですが、作ってる人の傲慢ですね。

 

 

つまり私は自分のためにしか作っていないってことでしょうな。そして このことを自白することで開き直って、罪悪感を軽くしようという魂胆なのです。ここは今 懺悔室なのです。

 

 

別の意見で 自由業の知り合いが言うには、作業量と収入がリンクしてるから、今みたいな不安定な情勢だと、先が見えないから出来るうちにとにかくたくさんやらないと!ってなって休むことに対する不安があると言うケースもあるようです。休んでる間は収入ゼロ、っていうやり方だとどうしても「休んだら損」と言う強迫観念をもってしまうと思います。

 

 

もの作りの理想として、無駄なくスムーズに良いクオリティーのものを作る、というのがあるのですが、実際には失敗が多くて、クオリティーにも不満だから理想とのギャップがあって、そのギャップを埋めるために作業時間が増えるんですけど、

 

その行為は私の理性が指示しているものであって、理性の支持に肉体がついてこない時があります。それが今日なんですけど。

 

 

ここでの肉体には生理的な欲求というのも含まれていまして、私の本質はコアラのように毎日だらだらしていたい怠惰な人間なんですけど、それを理性が無理して働かせるもんだから、例え自分の意思でやってることとはいえ、心身ともに疲労が溜まっていくわけでして、

 

このことがわかっているなら、「前もって休むぞー」と1日たっぷり休めばいいんですけど、私の理性は肉体の疲労には気づかず、というか理性はもっと働けると思い込んでいますから、「今日も作業を進めるぞー」 と思ってしまって、

 

でも作業に取りかかろうとしても中々始めなかったり、無駄なことを延々とやっていたりする時に「あ、これはもう体がボイコットしはじめてるわ」と気づいて、それから休みの日に移行するわけです。

 

 

例えるなら妻の不満に目を向けようとせずに、妻が出て行ってしまってから無理をさせていたんだと ようやく気づく夫のような感じです。もっと理性が強い人だと、働きすぎて倒れたり、まとまった休みに風邪をひいたりするんだと思います。

 

 

人間の体ですので どこかで休みを取らなければならないから、休みを曜日とかで決めるのが一番いいと思うんですけど、そうやって決めた休みの日に限ってすげーやる気出たり、休みに合わせて行動するということにさえも私の生理的欲求は反発するので、決まった日に休むと言うのも、1人でできる仕事の人は決めづらいんじゃないかしら。

 

 

今日のだらだらしてた3時間は「そろそろやんなきゃなー」と思いながらの気が休まらない、むしろ焦りを蓄積するタイプのだらだらタイムなので、それが非常にもったいないですよね。

 

 

自由な時間割で仕事をしてても、結局 有意義な作業ができる時間というのは1日8時間の、週5日までなんだろうな と思います。

 

 

根性論でもっと働けると言う意見もありますが、それ以上は効率が下がったり、オーバーした分あとでツケを払うことになったりしてますから、よーく振り返って比較してみたら8時間がマックスなんじゃないでしょうか。

 

 

オーバーした分のツケを払う時間が今日の3時間みたいな、休んでる自覚のない時間でもったいないので、前もって 休む気持ちを作ってから休んどくべきですね。休む勇気!

 

 

とりあえず休みっぽいこととして、夕方に 最近モサモサしてきた髪の毛を いつものように自分で切って、見た目 ちょっとさっぱりしました。

 

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7/14 Tシャツとロゴの話

 

7月14日 くもり

本日のBGM Chaka Kahn

 

昨日Tシャツをまた新たに発注したんですけど、今までの ロゴが胸元にドーンとあるTシャツの追加を頼んだのと、そのロゴを右裾に小さくプリントしたものと、左胸にプリントしたものを新たに発注しました。

 

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こちらが胸ドーンのやつ↓

 

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もともとこのTシャツたちは、春と秋の陶器まつりの時に手伝ってくれる人たちのスタッフTシャツとして作っていたんですけど、くろつる屋管理人のめいが「これも売っとけ」って言って売らせていただいておりましたら、思ったより買ってくださる人がいて とてもうれしいんですけど、

 

もともとサービスのつもりで作ったものだったから価格をギリギリで設定しておりまして、原価率がすごく高いTシャツになっております。最初に作った分だけで事足りると思ってたら今回で3度目の追加発注になっていまして、

 

それも全部売り切れての追加ならいいんですけど、このサイズだけないとか、この色が欲しいから早く作りやがれとかって言うので、前の在庫が残った上での発注なのでございます。

 

 

Tシャツをあんまりいろんな色で作ると、どの色を多く作ってもらうべきなのか よくわからなくて、なかなか発注が難しいですね。学生の頃に居酒屋のバイトで食材の発注をしていましたけど、あれに通じるものがありますね。

 

 

食材の場合はナマ物とか使い切らないとロスになるので ピンポイントな発注スキルが必要になってきますが、メニューが多いとピンポイントで発注するなんてほぼ不可能ですもんね。

 

 

ちなみに今まで作った中で一番人気な色の組み合わせは、Tシャツがユナイテッドアスレのインディゴブルーで、プリントインクがホワイトのものです。なので今回はインディゴ多めでいっときました。

 

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今までのやつ↑はスタッフ用としてわかりやすいようにプリントしてたんですけど、今回新たに追加したものはワンポイントなのでこちらの方が着やすくなっていると思います。

 

Tシャツイメージデータ

 

胸元は定番ですが、右裾へのプリントは「こういう風にやりやがれ」という助言をいただいたもので、確かにこれはさりげなくていいんじゃないの!と思ったので枚数多めに作りました。

 

 

まあ枚数多めにしないと赤字になるからなんですけど、でも枚数多くしたら最初に払う金額も増えるので そこが悩みどころですよね。

 

 

でも最悪自分で着ればいいや!ユナイテッドアスレ好きだし!こんだけあったらしばらく持つぜえー!ってことでボディの色は、自分で着そうな色であるバニラホワイト、インディゴブルー、ミックスグレーになりました。一番最初の画像の色とは全然違いますので出来上がったらまた紹介させていただきたいんですけど、

 

特にミックスグレーは普段から無地のやつを着てるんですけど一番いいんじゃないかと思っておりまして、汚れが目立ちにくいし 色あせないし、どんな服装でも馴染むのです。ロゴも目立たない!ミックスグレー最強!でも汗が目立ちやすいという欠点もありますね。汗腺を潰してから着ましょう。

 

 

しかしこれを書いているうちに思ったんですけど、こんなワンポイントのTシャツだったらシルクスクリーンの簡単なキットを買って、自分でプリントすれば在庫を抱えなくて良かったんじゃないかしら。小さいから簡単だし、むしろいろんな色でできたし。

 

 

ですがそんなことを考えても もうすでに全ての加工指示書にOKを出してしまいましたので もはや手遅れなのです。あきらめるのです。みんなが買ってくれたら何も問題はないのです。

 

 

まあでも こんな風に発注するだけで物が出来上がるというのは、実はけっこう快感でございまして、普段一つ一つ手で作っているから、自分で何も作ってないのに商品になるというのは なんて素敵なのかしらと思います。

 

 

焼き物だと どれだけ手をかけて作り込んでも 焼く段階で失敗して全くダメになったり、それならまだ諦めもつくけど すっごい微妙な感じに出来上がったりして、作り込むことはリスクが高くなってしまうんですけど、

 

印刷物だと最初にしっかり描いておけば、後はどんどん増産できるからすごくいいですよね。しくじってるのは価格設定だけですね。Tシャツを作ってみて気づいたのは、服の原価が実はすごい安いというのも、そのくらいじゃないとこりゃバランス取れんわ ってことですね。明日はロゴについて。

 

 

 

7/15 ロゴとTシャツの話

 

7月15日 くもりときどき雨

本日のBGM 吉田拓郎

agano_meijilogo_grayのコピー

 

このロゴは今年の3月ごろに作った物でして、もともとはお持ち帰りの袋用にとジョークとして作り始めたんですけど、作ってるうちに愛着が湧きまして、まあ今後はこれ使っていったらいいんじゃねーの ってことで、庚申窯のロゴとしていろいろなものに印刷しています。

 

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これの元ネタは明治時代のエビスビールのラベルでして、それがこちら↓になります。

 

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改めて見ると丸パクりだということがよくわかりますな。まあパロディのつもりで、袋だけに使うつもりだったんですけど、パロディならば全力で作らねばならないと思って描いているうちに愛着が湧いたという次第です。よく見たら昔のエビス様のイラストも今と比べたらちょっと愛くるしいですね。

 

 

ちなみに明治時代のビールのラベルは大体こんな感じ↓でして、今ではないビールばかりですね。昔のこういうデザインがよく見えるのはなんなんでしょうか。自分たちとは違う発想に心惹かれるんですかね。ただ この時代の和洋折衷な感じは、この時代でしか存在しえなかったものだと思います。

 

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この元ネタがまたその当時の外国のビールのラベルだったんでしょうね。そちらも色々ありますけどやはり味がありますね。

 

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ロゴを作るにあたって こんな感じで色々調べてみまして、見つけた中からそれぞれの好みなところを抜き出してミックスしたものを作るつもりだったんですけど、色々比較してみてもエビスビールのロゴが一番イカしてるなあ と思って ほとんどそのまんまになっちゃいましたね。

 

 

このロゴたちは当時手書きですから、手書きならではの微妙な歪みとか揺らぎみたいなものがあって、それを出すべく 私も手書きでやろうと思いまして、ていうかパソコンで描くやり方がわからないし、

 

そんで鉛筆でコリコリと書いてたら3日間くらいかかりました。データ化したやつよりこっちのが綺麗に見えますね。データ化する時はもう疲れてたからけっこう適当にやってますもんね。一番大事なところなんですけど。

 

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エビスビールのロゴとの違いは、外円が塗られてなくて白いバックに黒い文字であることと、中央のリボンの形が違うという所ですね。

 

 

外円を塗らなかったのは鉛筆で塗りつぶすのがすげーめんどくさかったためでして、あと修正もしにくいし、中央のリボンの形は上野焼の巴のマークに合わせてクルンとした感じにしたためです。

 

 

この英語と漢字が入り混じることに違和感を感じる方もいるかもしれませんが、私はあんまり気にならなくて、文字を読む流れとしても英語が左から右で、当時の漢字が右から左だから、円形のロゴだと字の流れが左回りでスッキリしてると思います。上野焼のマークが左巴ですし。

 

 

この漢字の旧字たちは調べて描いたんですけど、普段見慣れてないからどうしてもぎこちない感じになっていますね。その辺は現代人が旧字を書いたならではのズレや違和感が出てるんじゃないでしょうか。上野焼の文字だけは気に入っています。あのくらいのサイズが一番描きやすいんでしょうね。

 

 

今見返したらロゴの下半分が小さい文字だけだから庚申窯とか大きめに書いとけば良かったかなあと思いますが、自分のところをを大きく書くのはどうも照れますからな。下は引き立て役と言うことで。

 

 

あとはクリンクリンした草みたいな装飾も重要だと思っていまして、文字だけでは、つまり理解できるものだけ配置してしまうよりも、ようわからんものを置いておくことで奥行きが出る感じがして、それは余計なものを削いでいくタイプのデザインとはまた違った良さが 当時の手書きロゴにはあったんじゃないかしら。

 

 

なので今のラベルと見比べても昔の方がいいじゃんって思ってしまいまして、マイケルジャクソンの変遷を一覧で見て、「この辺でやめておけば。。」ってなもんで。でもマイコーはああなったからこそ唯一無二な感じがしますし、エビスのラベルも変わったからこそ昔のものがよく見えるんだと思います。庚申窯のロゴも形骸化して、元の意味がわからなくなるまで 長く使いっていきたいですね。

 

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

 

 

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