窯焚き2015
2015.10.21
2015年10月23日(金)、24日(土)、25日(日)の3日間、
「上野焼秋の窯開き」が今年も催されるので、その開くための窯を秋晴れの空の下 ゆるりと楽しく焚きました。
窯焚き中天気もうつろわず、そんなに寒くもなくて快適でした。上野では今の所なかなか一途な秋の空です。庚申窯3代目 コウヅルユウタです。
新しいフライヤー用ということで小田くんに窯焚きの様子を 今回は写真に撮ってもらい、その中から惜しくもフライヤーには載らなかったけどナイスなバイヴスを放っている写真をこっちに載せてみました。以下時系列に沿ってお送りです。
朝の早い時間帯。このあたりは大きな木材を入れておいて炉を暖める作業で、15分に1回くらいしか薪を入れないので割とのんびりしてます。
しかしそれは窯焚き作業の話であって、一夜限りの巣作りに私は奔走しておりました。この時父が不在だったので私は一人で薪をくべていて、自分にも燃料をとウイスキーなぞ飲んで、天気も良くて「こりゃええこりゃええ」と上機嫌。
快適空間作りに小道具を集め回って 庚申窯の敷地を走り回りポカポカなので半袖に。
一方窯も暖まってきたので細い薪を入れていくため革の手袋を使います。使わない場合大体すいばり刺さります。
“すいばり”
変換キーを押しても[水貼り]としか出ないので「もしや。。」と思いつつGoogle先生に尋ねたところどうもすいばりは方言だったようである。
しかもそれに代替する標準語が「木のトゲ」とか「木の繊維」しかなく、
幼少時から時には泣かされ、時には手の一部に取り込みながら慣れ親しんできたすいばりはすいばりでしかないのに、このニュアンスを同じ日本人でも共有できないとは! マータイさんもモッタイナイって言うよきっと。
話を戻して炉を見てみると火の粉が飛んでおります。
この火の粉が飛んでって焼き物に付着、それによって釉薬の成分が変化して独特の色味がつき、ひいては薪で焼いたものは良い、一品作、おもしろうござりますぅ。
の一方で 色が出なかった、割れてしまった、こりゃいかーん!のリスク要素も電気・灯油窯に比べて高くなるので、その結果薪で焼いたものは価格があがるのです。
今回の窯焚きでバックに写っている薪は人家に使われていた柱であった杉 及び松であって、ちょうど全部使い終わって火を止めました。前回より時間はかかりましたが木の本数的には省エネで焼き上げております。彫刻家の知り合いの人も手伝ってくれてその時に「こんないい木材を燃やしちゃうなんてモッタイナイ」と目のいい木材は選り分け救い出してました。
一方じいちゃん(高鶴智山)はそのころ庭仕事を。この時期庚申窯では柿、栗、グァバ、あとはカボスとかシークワーサーなどの柑橘類が何種類か取れます。ミントも取れるので最近はカボスを代用したモヒートなぞ飲んで平日の昼酒。
さて夜になり窯の温度も1000度越え。
気温もそんなに低くなく、今回は蛍光灯も排除したので快適でございます。間接照明にすると部屋がおしゃれになるとイケアで学んで以来、とにかくオレンジっぽい照明を使って雰囲気を作っておけば良いと思っている僕は、消費電力が上がることなどお構いなしにかき集めた照明器具とろうそくで暖色な空間でスタンダードジャズナイト。
祖父曰く、11oo度を超え出すと「窯が鳴き始める」そうな。
音というよりも感覚的なもののようです。わたしは野鳥の声しか聞こえませんでしたが薪窯は奥が深いですな。
1170度付近になってきて色見本を取り出します。これがいい色になっていればOK。
高温で光度も高いので、後半はミラーレンズサングラスをしていました。目を大事にしたいわたしはアイマスクのような感覚で、ことあるごとにこいつを装着していますがなぜかよく笑われます。
一方祖父はすぐ裏の溝に溜まった砂の中からしじみをとっていました。
しじみインザミソスープで窯焚き終了後に美味しくいただきました。
4、5日じっくりと冷まして窯出し。まずは塞いでいた入口の壁を取っ払います。
窯焚きの時もいたのですが写っている写真がなかったためここにきてようやく父登場。入口から焼き物が見えます。貝高台もたくさん敷いております。
取り出しの様子とできあがった品々。
写真は釉薬が流れ着いてしまったもの。
良い感じに焼けているものもあるし、全然ダメなものもあります。その中に期待や予測を飛び越えているものもあったりするのでそれが面白いという陶芸家なら誰でも言いそうなことを書いて〆にしておきます。
第20回上野焼秋の窯開き よければお越しくださいませ。