8/13~8/19
2020.08.21
コウヅルユウタです。
この日記は庚申窯のオンラインショップ
「くろつる屋」のブログを
1週間分まとめたものです。
8/13 オーシャンズ8と居残り佐平次の話1
8/14 オーシャンズ8と居残り佐平次の話2
8/15 夏らしい天気と陶器の風鈴の話
8/16 体感温度と構造の話
8/17 猫と喧嘩の話
8/18 飲み物の量とカフェインの話
8/19 カビと肌の話
くろつる屋の方もよければ覗いてやってください。
こっち↓の方が確実に読みやすいですよ。
オーシャンズ8と居残り佐平次の話1
8月13日 晴れ
本日のBGM Billy Paul - Me and Mrs. Jones
私は大体いつも祖母とお昼ご飯を食べているんですけど、その時に祖母が見ている中国ドラマか、テレビで放映された映画の録画などを見てまして、食事の間だけ見るので15分刻みぐらいで映画を見ているんですけど、以前金曜ロードショーで放送されたオーシャンズ8を見終わりまして その感想を書いてみたいと思いまして。
オーシャンズ8はオーシャンズシリーズの女性版リブート作品ですが どういう映画なのかはこちらの予告を↓
フランク シナトラ主演のオリジナルのやつは見たことないんですけど、オーシャンズシリーズはどれも好きでして、こういう盗人モノではついつい盗人側に肩入れしちゃうんですけど、それはたぶん盗人モノというのには対権力、対体制という構図があって、
「悪巧みをして儲けようとする人が犯行を企てようとしましたがやっぱりダメでしたねトホホ」みたいな “常識教えてあげます作品”が多い中、オーシャンズシリーズはその反対で、悪いことをやっても さくっと成功しちゃうという痛快さが心地良く、まあそれによって我々はまた反抗意欲を満足させられて、平常の生活を送ることになるんですけど、
今回の映画では冒頭で主人公の女性が出所して、仲のいい看守に「あんたこれからどうするの?」「私今45ドルも持ってるからどこにでも行けるわ」というふうに始まって(最初の方適当に見てたので細かいところは間違っていると思います)、
タクシーでニューヨークに着いたら 口八丁手八丁でデパートのブランド品を堂々とパクって、高級ホテルにもタダで宿泊しちゃうという一連の流れが大変に心地よくてですね、これはもう居残りですなと。
居残りというのは落語の演目で、「居残り佐平次」とか言ったりするんですけど、こちらの主人公も金がないけど口八丁手八丁で遊郭の若え衆を騙して散々遊んで、金がないことがバレて遊郭に居残りさせられるんですけど(居残りというのは支払い能力がないやつを遊郭に閉じ込めて、何らかの形で支払いをさせるまで物置部屋とかに居続けさせる、というやつ)、
居残りさせられた後も全く悪びれず、持ち前の機転と人当たりの良さで花魁とか客に気に入られて、しまいには「なんか場がしらけてるな。おいちょっと居残りのあいつを呼べよ」ってって太鼓持ちみたいな感じで人気者になって、その挙げ句遊郭のオーナーから「お前さんもう金のことは忘れてやるから帰っていいよ」
と言われるんですけど、ここで佐平次はタダでは帰りませんで、また口から出まかせでオーナーを騙して、逆に着物と金をせしめてホクホクで帰るというところで落語は終了となるんですけど、
この居残り精神がオーシャンズシリーズにも通じるなと思いまして、何も持たない人間が、頭の良さと罪悪感の欠落によって社会のシステムをするすると騙して、そこで成り上がっていく様が、社会のシステムに服従している人間にとっては大変に痛快で楽しいのですが、
ここで重要なのは騙している側が「遊んでいる」ことでして、犯行の一連を遊んで楽しんでいることで佐平次もオーシャンとその仲間たちも、いやらしさが消えて 粋で品がよく見えて、そんで物語を見た人の反抗意欲を上手に満たしてくれるという機能も持ち合わせているんだと思います。
その粋な遊びを女性もやっていいんだ ということを言っているのがこのオーシャンズ8なわけで、私は居残り佐平次の 何も縛られずに己の才覚だけを頼りに暮らすという生き方は 男の理想の生き方の一つだと思っていたんですけど、それは別に男に限定されなくて、女の理想の生き方の一つでもあるんだということをオーシャンズ8を見て思いまして、
この映画を見るまで そのような生き方を男限定で考えていたということは、いかに無意識下で性別によって物事を分けて考えていたのか ということを自覚させられまして、もう男は とか女は とかで語る時代ではないと頭で思いつつ、無意識の部分で自分でも気づかない性差による役割の押し付けが実はあるんだよ、ということをこの映画は教えてくれます。
その2に続きます。
オーシャンズ8と居残り佐平次の話2
8月14日 晴れ
本日のBGM Amy Winehouse - Me & Mr Jones
最初の方のシーンで主人公と訳知り顔のジジイが話す場面があるんですけど、金曜ロードショーだから登場人物にはいちいち役名と本人の名前が字幕で出まして、それでこのジジイがエリオット グールドだということがわかりまして、エリオットグールドは昔の映画で好きだったので「今こんな感じになっとるんけ!」と驚きまして、字幕で出なかったらたぶん気づかなかったので、金曜ロードショー版ではこういう楽しみ方があるのね、と思いました。
オーシャンズ8では、高級ダイヤをカルティエから盗むという計画を主人公が企てて仲間を集めるのですが、その計画には かつて自分を裏切った男に対する復讐も含まれていて、まあオーシャンズシリーズですから復讐もダイヤ窃盗もさくっと成功するんですけど、
その複数人のチームワークによる犯行シーンはやっぱり見ていて楽しいし、暴力描写なしで盛り上がるので、大変に品が良く、映画的な快感だなあと思いました。暴力描写が入るとどうしても映画であるとか演技であるといったことを意識してしまうので、こういう軽い作りの映画では暴力描写がない方がむしろ緊迫感を作れる気がします。実際のセレブたちが本人役でいっぱい出ていますから現実との地続き感ありますし。
犯行シーンは楽しいんですけど、もうちょっと意地悪に作ろうと思ったら いくらでもできるなあと思いまして、想定外のアクシデントによる計画の乱れで 見てる人の緊張を高めて、物語の展開もグリグリ揺さぶって、リアリティも作ることができると思うんですけど、この映画ではその要素が非常に軽くて、大変優しい作りだなと思いましたが、それ故に祖母も程よく楽しめたんじゃないかと思います。
今回アンハサウェイが騙される側の美人女優として出ているんですけど、アンハサウェイが相変わらず美人で、というか美人すぎまして、ていうのももはや「美人女優」というステレオタイプなキャラクターとして描かれていまして、アンハサウェイが自分自身のパロディをやってるようなもので、
それが滑稽でありつつ とても魅力的で、映画の華やかさをしっかり担っていて大変に良かったです。金曜ロードショーの吹き替えで見てたからより一層パロディ感が出てて、こういうのも金曜ロードショーならではだなあと思いました。
まあそのアンハサウェイを典型的な美人女優像として、美人女優とはこういうものだという世間の思い込み、なんていうか「女に嫌われる女」とか「目立ちたがりの美人はバカだ」みたいな、男が喜びそうなキャラクターを作り上げておいて、後半でそのキャラクターからさらっと脱却する逆転があるので、その辺も痛快なシーンでした。「そんなに単純なものだと思っていたの?」みたいな。
そのアンハサウェイがターゲットの男を2重の意味でハメるシーンがあるんですけど、その時に流れる曲がエイミー ワインハウスの”Me & Mr Jones”でして、私はエイミー ワインハウスがめちゃ好きなんですけど、
そのMe & Mr Jonesという曲は、かつて愛した男に裏切られて、今ではその愛も冷めたわって語りつつ、でも私とミスタージョーンズの間には誰も入ってこれないと歌うので、矛盾した感情、どちらの気持ちもあるんだという この歌の心情がそのまま この映画の主人公の心情を表していて、ここでも「そんなに単純なものじゃないよ」 ということを教えてくれます。
ちなみにこのMe & Mr Jonesという曲には元ネタがありまして、ビリー ポールのMe & Mrs Jonesという曲なんですけど、こちらの内容では 男とミセスジョーンズは不倫関係で、でも2人の間には確かな愛があると歌っていて、
この2つの歌の関係も、かつてのオーシャンズシリーズと、この映画との関係につながるようで、巧みな選曲だなあと思いました。ちなみにジョーンズというのは英語では隣人の代名詞として使われることがあるそうです。
楽しくて華やかで軽い、お菓子のような映画で、娯楽作品として大変にいい映画だと思いました。
偽造ダイヤを作るのにジルコニウムを使うんですけど、ジルコニウムは陶芸でも使いまして、ジルコニウムについても書こうかと思ったんですけど また機会があれば紹介させていただきます。
夏らしい天気と陶器の風鈴の話
8月15日 晴れ
本日のBGM マザー・グース - 貿易風にさらされて
明日までお盆ですけどまあ〜連日夏らしい天気で、空が真っ青で絵的にはすごくいいんですけど 気温的には優しくない日々が続いておりますね。
庚申窯のある福智町あがの の天気は向こう1週間晴れっぱなしで気温も高止まりしてるような状態ですけど、
↑こうやって見たら32度くらいなのでそれほど暑いわけじゃなくて、まあ昔は30度超える日なんてそんなになかったよ って年輩の方から聞きますけど、明日の気温を調べて見たら37度とか39度とかのところもあって、
そんで都市部だとコンクリートジャングルが熱を取り込んでしまうから体感温度ではかなり差があるだろうなと思います。
今日庚申窯に来た方から風鈴があるかどうか尋ねられたみたいで、何年か前に作った焼き物の風鈴がストックから出されてまして、絵的にも気温的にもぴったりなのでいくつか軒先に吊るして、音も陶器製にしては わりかし高い音が出てて、結構ちゃんと作っておるなあと思いました。
最初の方に作った風鈴がこんな感じで↓
その翌年くらいに作ったのがコレなんですけど↓
改良点としては、下の風鈴に使った土の方が同じ温度で焼いた際に、より固く焼き締まる 半磁器みたいな土で、そのため音が高く、風鈴本体を吊すヒモと 舌(ぜつ:風鈴の内部にぶら下がってるやつ)を吊すヒモの固さを変えてより音が鳴りやすいように、
またヒモが振動(音)を吸収しすぎないように、ヒモの結ぶところを上に出していて、釉薬を貫入(かんにゅう:細かいひび割れのこと)が入らないようにうすがけしているんですけど、今 音を聞いて見たら下の風鈴の方が確実にいい音というわけでもなくて、好みの問題だなあと思うので それなら簡単に作れる上の方がいいわよねえと思いました。
なんで風鈴を作ったのかというと、前にあがの焼が夏の時期に風鈴を作ってたことがあったんですけど、その時に他の人が作った風鈴の音を聞いて、全然音が響いてなかったので ちゃんと作ったら陶器でもいい音になるんと違うの、と色々風鈴の構造を調べて作ったんですけど、
陶器が風鈴に向かない理由は多孔性にありまして、多孔性というのはその物質の中に細かい空洞がいっぱい空いているというやつで、炭とか発泡スチロールとか思い浮かべていただけるといいんですけど、この空洞が振動(音)を遮るので、音が響きにくいんですよね。
だから素材的には磁器やガラスのような、穴の空いてない物の方がよくて、南部鉄器の風鈴なんかは もう全然響きが違うんですけど、陶器では頑張って音を響かすように作っても 磁器やガラス製のものにやや劣るくらいの音色で、
それらとの差別化には見た目が大事になってきますが、釉薬をいい色で出そうと思ったら厚くかける必要があって、厚みが増すと音は低くなるし、ほんでこの釉薬も多孔性物質ですから音が響かなくなるんですよね。
というわけで陶器で作る意義が薄いなと思ったので風鈴は作らなくなったんですけど、今なら石膏型で原型作れるから 薄く均一にって形を簡単に作れるし、鋳込みで作るならカオリンが使えるので、カオリンはかなり固く焼き締まりますし、絵具で彩色すれば色合いのパターンもいくらでも作れるので、今だったらまた違った風鈴を作れるかもしれないですね。機会があれば作るかもしれないです。
↑カオリンと絵具の組み合わせ
体感温度と構造の話
8月16日 晴れ
本日のBGM Dinah Washington - Let Me Be the First to Know
今日も暑いわけですが 最近気づいた事がありまして、その部屋が暑いかどうかって日の当たり具合と風の通り方だなあと思いまして、あ、そんなことは常識なんでしょうけど、体感したというか、
今猫たちのいる一部屋だけの建物a.k.aプレハブが かなり暑くて、エアコンのない部屋なので窓は全開で、扇風機と冷風扇回してる状態なんですけど、建物自体の日当たりが良いのと、
近くに石垣とか建物があるので 盆地状態になってて風の抜けが悪くて それで熱がこもりやすいのねと思いまして、
それでいくと焼き物を作っている工房の方は 裏手にでっかい木と坂道がありまして、この木のおかげで日当たりが緩和されて、坂道で地形に高低差がある事で 風が常に対流するので、窓と扉を開けておけば風が通ってかなり涼しくなります。それで冬寒いのか!って思いましたけど。
この木↑ですね。正確にいうと何本かの木の集合体なんですけど、工房の窓から見るとこんな感じです↓
窓と扉を開けてるだけで 汗もかかないくらい涼しくなるんですけど、風がよく通るというのは焼き物の乾かし方には良くなくて、もちろん天日干しで器を乾かす産地も多いですが、
それができるのって 使ってる粘土が天日干しに耐えられる性質であることと、器の作りがやや厚めな事が必要条件でございまして、あがの焼ではそのどちらもないので、作り立ての器は屋内で乾かすのですが、
この 工房 風通し良好バージョン にしてしまうと、風が器にあたって 風の当たる側だけどんどん乾いていくので、そうすると変形したり、割れたり、その後の加工がやりにくくなったりするので、風通し良好状態にする際、乾かし途中の器たちはこの部屋から追い出してしまいます。
特にお皿の形が一番ダメージを受けやすいですね。
この部屋の棚↑に残ってるのは全部乾き切っているやつです。器がもう変形しないくらい乾いてしまえば風が当たっても問題ないんですけど。
作ってる部屋から追い出された生乾きの器たちは 隣の部屋の棚に移住させられます↓
こっちは素焼きの器に 釉薬をかけたやつを置いとくための棚で、こちらの部屋は風が通り抜けないようにしておいて、隣の部屋で作ったら すぐにこちらに移して ゆっくり乾かします。ゆっくりといっても連日の好天でかなり乾燥スピードが速くなっていますね。
こんな感じで自分の体感温度と器の乾き方に折り合いをつけながらやっていますが、以前は扉を閉めて 風を通らないようにした上でエアコンもつけず 上半身裸で だくだくになりながら作ってましたけど、同じ工房を使ってた父や祖父は迷惑だったでしょうな〜。低温サウナみたいなことになってましたからね。
まあ薄作りで大きい皿とか作るときはそうする必要があるんですけど、体力もあったせいで融通の効かないところもあったようです。若さはいつだって傲慢なのです。
というわけで 体感する暑さ 寒さ というのは、周囲の地形を含めた構造的な部分による要因がかなり大きいんだと思います。風水の起こりも そういう地理的な良し悪しを判じるための学問だったみたいですけど、
そんな感じの、構造とか設計で物事を解決するというのはとても好きでして、たぶんデザインと同じ考え方なんですけど、風とか日光とかのエネルギーをうまく利用して、最小限の稼働で快適に過ごせたら それはとてもスマートなことだと思います。
猫と喧嘩の話
8月17日 晴れ
本日のBGM Stray Cats - Baby Blue Eyes
猫が生まれて30日目ということで、一月たった訳ですけど最近だいぶ猫らしくなりまして、ていうのもだんだんと動き回れるようになってきましたから幼児から子供って感じになって、
毛繕いとか爪研ぎとか動いてるものへの反応とか、形だけですけど やるようになってきたので、そういう固有の動作によって猫だ とか 犬だ とかって認識するところが大きいみたいですね。
形だけやってるって書いたのは まだ全然しっかりした動きではなくて、見よう見まね感が強いんですけど、見よう見まねってことは これらの動きが学習によるものなのかしら と思いまして、猫にだって学習による行動と 本能による行動はそれぞれありますよね。
この猫のいる1部屋だけの建物は全面カーペットが敷いてありまして、子猫のうちは爪を隠す事ができないので しょっちゅう引っかかって歩くのが遅かったんですけど、
我々の教育基本方針はどちらかと言うと優しさ少なめ、でも長期的に見たらあなたにとって一番メリットがあるんですよ、そう思い込んでます って感じのやつでして、
こうやってひっかかりやすい環境で育てば 爪を隠すこともさっさと覚えるだろうって事で、歩きやすい環境なんて配慮は一切しなかったら 昨日今日くらいでもうポンポン歩き回っておりまして、爪を隠すというのは本能として覚える行為ではありますが、学習によって習得が早まったのかしら と言う感じです。
子猫は黒い方がオスで白い方がメスなんですが、最近ではだんだんと性格の違いも出てきまして、黒が好奇心旺盛でよく動き回り、白が控えめでゆっくり遊んでるって感じで、それゆえに黒い方が写真や動画が多いんですが、この2匹が今一番うまくできる行動が2匹による喧嘩でして、
だいたい黒が仕掛けているんですけど いつもUFCの泥試合ばりに寝技の応酬を繰り広げていて、うわっ今 目いこうとしたで!逃げる相手に追い討ちで噛みつきを!?とかルール無用の喧嘩を繰り広げているわけですが、
これを繰り返す事で 相手に対してどこまでやっていいか、と言う力加減を覚えて、喧嘩もルール化が進むわけで、単独で育った猫は噛み癖がひどいって言うから これは学習による習得ですよね。
人間の場合は周りに物騒なものがいっぱいありますし、特に他人の子供とは責任問題とかが大変なので 喧嘩をさせるのは容易ではありませんが、人間も子供のうちにガンガン喧嘩した方がいいんじゃないかしら。
それによって他人と接する力加減や距離感を覚えたり、危険を回避する事ができるようになったり、あるいは大きくなってからの破壊衝動みたいなのも抑えられると思うんですけど。
人の子供との喧嘩は後処理が複雑化してるので となると兄弟で争わせるのが一番ですよね。喧嘩教育法。たまには喧嘩に負けてこい。東雲堂の にわかせんぺい!
あとは最近我々がいても授乳するようになったので、親猫も子猫も 人間に対して慣れてきたみたいで、これも学習なんじゃないでしょうか。
2匹とも もらい先には猫が数匹いる家庭なので、今のうちにたくさん喧嘩していただいて自衛の手段を身につけておいて欲しいと思います。それに別々になったらもう会わないと思うから 今のうちにたくさん肉弾戦コミュニケーションしといたらいいんじゃないかしら。
飲み物の量とカフェインの話
8月18日 晴れ
本日のBGM Crystal Fighters - At Home(Acoustic)
今日祖母とお昼ご飯を食べていた時に、「最近おめえを見習っている」と言われまして、なんのことか、おぬしもシャンプーをしなくなったのか、と思ったらそうではなくて、最近 食事中に冷たい麦茶を飲んでいると言うことで、て言うのも暑いからね、ってちょいとお待ちを、今まで食事中に何も飲んでなかったの?
と思い返してみたら 食後にお茶っ葉からお茶を淹れて飲んでいたけど、確かに食事中は飲んでねえなと思いまして、私はそのことに大変驚きまして、と言うのも私なぞは粗雑な食事の摂り方ゆえに 液体の力を借りないとうまく嚥下ができないようなありさまで、
食事中のお茶とか水は必要不可欠なものという認識だったんですけど、祖母にとっては今年の夏まで 食事中の飲み物は必要でなかったようで、間に一世代入るとこんなところで食文化というのは異なるのね、と感慨深く思いました。
そういえばアメリカのチェーン店の飲み物とかって 日本でのMサイズが一番小さいサイズに設定されていますけど、同じくらいの体格でも向こうのほうがたくさん飲む印象があって、飲み物の量って文化によって変わるのかしら。
一方で昔の陶器とかを見てみると、庚申窯で2〜30年前に作られた湯飲みなんか見てもかなり小さくて、現代の感覚からすれば一回りは大きくないと使えないって感じで、日本人の体格が良くなってきたってのもあるでしょうけど、飲む量というのはここ数十年でかなり増えたのかしら。
コーヒーなんかは確実に増えてますよね。スターバックスのトールサイズが350ccですからね。コーヒーカップも標準のサイズって一応あるんですけど、最近では大きいマグカップの方が求められている印象があります。また標準自体も変わってくるんでしょうけど。
飲む量についてふと思い出したんですけど、大学の時に 女性の若い助教授が、12月の講義後に自動販売機で500cc缶のコーラを買っていて、真冬にあのサイズのコーラを缶で買うってチャレンジャーだなあと思いました。
かくゆう私も飲み物は結構飲む方で、ほとんど水ばかりで、それで水を飲むための器を作ろうと思って作ったのがこれなんですけど↓
でも最近は以前に比べたら水もそれほど自然には飲まなくなって、加齢とともに飲む量も減ってくるのかもしれません。水を飲むっていうようなサラッとしてる行為でもそれなりの体力が必要なんでしょうね。
確か昔読んだ本で、おじさんは水を1リットル飲めと言われても飲めないけれど、ビールだったら飲む事ができる、というのもね、って感じで人間が水をあまり飲めない理由ってのを科学知識本みたいなので読んだ記憶があったので、今手元にある本棚を見てみたらその本はなかったのですが、
代わりに講談社ブルーバックスの「今更聴けない科学の常識」という本がありまして、カフェインのページがあったので見てみると、カフェインというのは薬事法上は劇薬になるそうで、
半数致死量が体重1キロ当たり200ミリグラム、つまり10グラム程度の純粋カフェインを一度に摂取するとかなり危険ということだそうで、コーヒー20〜40杯を一気に飲むと心停止や呼吸不全を起こすそうです。
それは確かに海外のレッドブル飲みすぎて死んでしまう人も出ますなあと思いましたが、普通に飲む範囲なら明らかに生活の役に立つ と続いており、依存症もタバコやお酒に比べればずっと低いそうで、そのことを猿で実験した結果もありまして、
レバーを押すと薬物が得られることを覚えさせた猿が、それが手に入るまでに何回レバーを押すかという実験で、カフェインは100回レバーを押しても出てこなかったら諦めるそうですが、ニコチンは800〜1600回、アルコールは3200回〜6400回ということだそうで、その差が歴然としているわけですけど、
このデータの出典元がカフェインの科学という本からなので、数字もやけに倍々で揃ってるし、ちょっとカフェインに有利なデータ出してるんじゃあないの、と邪推してしまう私でした。
カビと肌の話
8月19日 晴れ
本日のBGM The Cardigans - Lovefool
さっき出かけなきゃいけないので服を着ようと思ったら どの服にもカビが生えていて 着る服がない という地味に嫌な夢を見まして、
実際に庚申窯はそういうところがありまして、木に囲まれてるし、すぐ上に池があるし、敷地内に水路も通ってるから湿気が多くて 加湿器のいらない環境でして、
人間の肌にダメージを与える環境要因の一位が紫外線で、二位が乾燥ですから肌には優しいんですけど、カビたちにも優しくてですね、実際に革製品とかはすぐにカビが生えてしまいます。
ちなみに最近では紫外線、乾燥の他に、工場煤煙や排気ガスなどがシミやシワの原因になることが化粧品会社などの調査でわかってきたそうで、特にピーエム2.5なぞというものは肌の角質よりもサイズが小さいから奥深くにまで入っていって、それが肌に炎症とかを引き起こすんですけど
これはどちらかというと男性の方がよりその被害を受けているようで、まず化粧によるガードがないから入ってきやすいってのと、排気ガスも細かく見れば物質ですので、皮脂や汗が多いと そのぶん大気中の物質はくっつきやすくなるので、夏場は特に気をつけた方がいいそうです。
てことは肌をきれいに保とうとしたら 暗くてじめっとして、外気の入ってこない部屋で過ごしたらいいですよね。その際もあんまり表情豊かに過ごしちゃうと またシワになりますので 表情の変化は控えていただいて、でも顔の筋肉を使わないとたるんでしまいますから シワのよらないところまでで笑う感じ、
だからニヒルな感じの笑顔でお願いしたいのですが、するとジョークもそんな大笑いするタイプのものは避けてもらって、「その冗談分かってますよ」的な確認笑いを誘うシニカルなジョークを中心に過ごしていただければ とてもいい肌を保てると思うんですけど、果たしてそれが異性を惹きつける人物になるかどうかは別問題なようで、いずれかの犠牲を伴うみたいですね。
昔 服飾の学校に行っていた友人から聞いたんですけど、服をきれいに保ちたかったら着ないで飾っとくのが一番だよ と言われて、なんかきれいの本質ってのはそういうもんかもしれないですね。
手なんかも働き者の方が荒れてきますから、いろいろな摩擦によってだんだんと傷がついていってしまうわけですけども、だからと言って何もしないわけにはいかないので、どうやって摩擦と付き合っていくかですよね。
例えば陶器と磁器には価値の上がり方に差があって、磁器の場合は一番最初が完成された美しさだから、その後は「どう最小限に傷や汚れが抑えられているか」で価値が変わるんですけど、
陶器の抹茶茶碗なんかはいろんな人に使われて、シミもシワもバキバキに入ったやつがいいものとして認められて、なんなら一回割れても それを修理した様がまたいい、なんつって 変化したこと自体に価値を見出していて、それは日本人が築き上げた とても素敵な精神性だと思うんですけど、
その精神性は対人間にはあんまり適用されなかったのか、というのも一方で日本人の気質は初モノ好きで、昔からロリコンだったわけですから その辺のチグハグさもまたユニークなところですね。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目