薪で窯焚き[後編]
2014.10.10
薪窯の窯焚き後編です。
この前日も寝不足でランナーズハイでなくポッターズハイに入ってきている庚申窯3代目(仮)コウヅルユウタです。
potter=陶芸家 / Potterでイギリス人っぽい名前になります。メガネに杖。
実際にポターズハイにはなりえると思います。
前編で8:30amスタートでしたがこの写真の温度計が記す800℃前後に至ったのは4:30pmほど。
その間の作業は薪が燃えて火が落ちてきたら薪を足すの繰り返しです。
そしてひたすら火とにらめっこ。
まあわたくしの場合は撮影とかでいろいろ他のこともしてましたし他にも人手がいたのでそこまできついものではありませんでしたが。
この温度帯になってくると火を見るのぞき穴から火が吹き出てきます。
もう窯の近くにいるだけで暑いので扉を開けると完全に「熱い」になります。
夕方頃、福智町で「猟師小屋」という野生動物の料理を出している料理屋さん(庚申窯からすごい近い)のオーナー平野さんが手伝いにきてくれました。写真真ん中の巻き割りマシーンで薪を割ってくれたり。
ちなみに猟師小屋で出されるイノシシやアナグマは平野さんが実際に近場の山で獲ってきたものです。カウボーイハットも「伊達じゃないぜい」って感じ。
いずれは庚申窯のサイトでもご紹介すると思います。
さて夜も更けてきて寒くなり始めました。
昼間準備のときに「コタツいる?」と聞かれ「こんなあったかいのにコタツなんかいりませんがな」てって出さなかったことをひどく後悔しました。
“ 山の 夜は 寒い ”ということを身にしみて感じることができました。遊びにきた友達も終始寒いを連呼。寒いんなら窯焚き手伝えい。あったかいよ。
夜になって温度は何度くらいに上がったのか?
と言いますと
夕方5時頃に800℃ならもう1200℃くらいじゃないの と思われるかもしれませんが実はまだ950℃程度だったりします。
きれいな右肩上がりではなく二次曲線的にだんだんと温度は上がりにくくなっていきます。
この時点では主に“杉の薪”でたいていますが、その杉だけでの上がる温度がその辺りで限界に近いということかもしれません。
つまりここからうまく薪をくべていかねば温度はきちんと上がらないということです。
もしくはここで松の木に切り替えたりもします。
朝から夜まで焚いて20℃くらいから900℃に上がりますが、夜から朝まで焚いても900℃から1100℃程度にしか上がらないのです。
これぞ「KAMATAKI」
ポッターズハイって言うのもうなずけるんではないでしょうか。
そしてポッターズハイでウイスキーをがぶがぶ飲んでしまうというのもうなずけますよね。
交代で仮眠をとって僕は夜12時から朝4時くらいまでウイスキーですっきりと寝ていました。
で戻ってきて窯焚きを再開。
もうあれだけあった薪はきれいになくなって新しいのを運んでくべていました。
交代でイスで仮眠しているのはじいちゃんの庚申窯初代 高鶴智山です。
もううっすら外も明るくなっています。
さてしっかり夜も明けて温度は1150℃前後まで上がっていました。
電気窯だと1230℃位まであげるのですが薪窯ではそんなに上がらないので1160℃くらいが上限なんだそうです。
予定ではこの日の昼までかかるはずでしたが思ったよりも早く窯焚きを終えることができそうです。
これが前遍で上野焼の代表色 総緑青をかけておいたテストピースです。
奥の赤っぽいのが一回目に取り出したものでそのすぐ近くのが2回目の色見です。
まず総緑青なのに赤やんけ と思われるかもしれませんがこれはしっかりと還元がかかっている証拠です。
このように還元焼成すると同じ薬でも全く違う色になります。しかも薪窯は大きいので場所によって還元のかかり具合が違うし薪の灰の色もつくのでこの辺が薪で焼くのがおもしろいところ。
次に2回目の色見の方が色がうすいやないか と思われるかもしれませんが
これは温度が上がって還元がしっかりかかっていて色が“ 飛んでいる ”証拠です。
このテストピースの場所で“やり過ぎ”なくらいで他のところではちょうど良いそうです。
色が十分ということであとは煙をしっかりと出しておしまいです。
終わった時間は9時くらいでちょうど24時間で終わりました。
けっこう早いそうです。
わたしの薪のくべかたがよかったのでしょうか。なんてって。
いやー疲れましたけれど終わったのが午前中で天気が良くてさらにテンション上がりました。
今日はもうなにもしません。ブラジルの音楽でも聞いてまったり。