あがの焼窯元 庚申窯(こうしんがま)

体験レポート

焼物に関する雑学を紹介します。

やきものの値段について

2014.02.18

 

「やきものの値段はあってないようなもの」と良く言われますが値段が高いのには理由がある!・・・こともある。

ということでやきものの値段について解説をさせていただきます。3代目(仮)高鶴裕太です。

 

デパートの陶磁器売り場では欧風なティーセットが100万円もしたかと思うと100円ショップでもしっかりした陶器も磁器も大量に並んでいたりします。

やきものの値段には骨董的な価値や作者の知名度、卸や小売店の仲介料だったり、作る手間ひまや一点ものか量産ものか、ブランドがあるかないか、果ては作者のこだわりでこの値段!とさまざまな要因があります。

 

一口にこういったことが基準ということを断言することはできませんが基準の1つになるのは「サイズが大きいと値段もあがる」ということです。

 

 

まず原料費的な面から見て出来上がりが大きいほど使用する粘土が多くなります。庚申窯では粘土も自家製なので粘土作りはけっこう大変です。

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原料となる赤土 冬はあんまりやりたくない作業

 

 

次に窯焚きの際の電気代や灯油代、薪代などから見ると、窯の大きさには限りがあり、一回の焼成に7~8時間かかって(これは電気窯や灯油窯の場合で、薪では更に時間がかかり、常につきっきりで火加減を調整します)冷却に1~2日必要なため一度の窯焚きで多く焼くほどお得です。

なので焼き物のサイズが大きいほど焼ける量が少なくなるためここでも相対的に費用がかかります。

大きいものほどスペースが必要

大きいものほどスペースが必要

 

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フルオートでやってくれる電気窯くん。電気代深夜料金を狙う。

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火加減を調整しながら温度を上げる灯油窯。マニュアル車を運転する趣があります。

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一晩中つきっきりで温度を上げてく薪窯さん。車に例えるならリヤカー。

 

 

3つ目は技術費用です。型ものなどではあまり関係ないかもしれませんが、たとえばろくろの場合直径が1センチ増すごとに難易度が1つ上がるくらいの技術要素が必要になります。正確な形で大きいものを作るのは非常に難しいのです。

左から 高鶴享一作「黄風」 「丼茶碗」 高鶴裕太作「ミニポット」

左から 高鶴享一作「黄風」 「丼茶碗」 高鶴裕太作「ミニポット」

最後に成功割合があります。やきものは粘土を乾燥させて水分が抜ける際に縮みます。このときうつわの厚さのバランスが悪かったり、乾燥を急いだりすると収縮率の差から乾燥割れを起こします。また素焼きの段階、本焼きの段階でもそれぞれ焼き締まって縮むためここでも厚すぎたり薄すぎたり、または中に気泡が入っていたりなどで割れてしまいます。(この割れを起こさないようにするのも技術のうちとも言えます)

このようにサイズが一回り大きくなるごとに各段階での相対費用、難易度が上がるためサイズの大きなやきものは自然と高い値段でしか釣り合いがとれなくなってしまうということです。全作業を手仕事でする上野焼ならではの削れない費用があるということですね。

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