粘土ができるまで[前編]
2015.02.18
上野焼のある福智町は山のふもとだけあって町内でも高低差が結構あります。
その高のほうにある庚申窯の冬は福岡県にしてはとても寒く、スリムなわたしにはこの時期かなり辛いとこがあります。そのくせ厚着は嫌いなので常に暖房をたきまくる地球に優しくない男 庚申窯3代目(仮)コウヅルユウタです。
まあ陶芸家なのですし、考えようによっては火が燃え続けてる的な感じでよろしいんじゃないでしょうか。アツい男ですよ。まあ人には冷めてると言われることが多いですけど。
さて粘土の作り方について。
庚申窯では基本的に粘土は自分たちで作っています。
業者さんから買うこともありますがそれでも庚申窯オリジナルの土とミックスして使っています。
やきものは土が命と言いますように(火の場合もありますが) 土は作品の重要なファクターで、昔は作品を作る土をどこから取ってくるかが窯元の秘伝みたいに扱われてもいました。
そんな粘土はどうやって出来るのかを紹介したいと思います。粘土から作ってるとこはけっこー珍しいですよ!
この泥山が粘土の元の原土になります。
以前工事現場からもらってきたやつですね。
すっかり馴染んで草まで生えてますがちゃんと使えます。
この原土を掘って天日で乾燥させて、
草の根や小石を取り除いたのがこちら↓
粘土は原土が違う場合は別の水槽で精製します。
ミックスする場合は粘土として出来上がった段階で手揉みや機械を使って混ぜます。
今回の原土は前に作った時 割れる確率が高くて失敗して放置されてたものですが、私が「この色の粘土が使いたいんや」と無理を言ってじいちゃんに作ってもらいました。わたしは見てるだけ。
サンプルを見るためなので小規模に釉薬用の甕で作ります。
ちなみに庚申窯の他の粘土は人が何人か入れるくらいのビッグサイズの水槽で作っています。
これに水を張って原土を入れまして、
数日おくとこんな感じに。
この段階ではまだ砂やゴミが混じっているのでこれを取り除いていきます。
さらに水を注ぎ込んで攪拌機でまぜまぜします。
するといままで粘土に閉じ込められていた比較的軽い草の根などのゴミが浮いてきて、粒の大きくて重い砂などは下に沈みます。
そして二つあった甕のもう一方にフィルターをかまして移すことでこのゴミや砂を除いたより粘土だけの液体になります。この時の網の目の大きさを変えることでよりキメの細かい粘土にするか荒い土味の粘土にするかを調節できます。
今回は適度に砂の混ざる中間くらいの荒さにしました。この方が粘土自体の質が良くなくても砂が間に入ることで割れにくくなるためです。
ではこのへんで
写真が多くなってきたので後編に続きます。