DIYと未完成による幻想の話
2020.09.11
DIYと未完成による幻想の話
8月29日 晴れ
本日のBGM Bob Marley & The Wailers - Lively Up Yourself
またしても既に29日ではないんですけど、さっきガッチリマンデーを見たらDIY特集をやっておりまして、DIY、Do It Yourself、いわゆる日曜大工ってやつで、数年前から女性たちの間でも盛んになってきた印象がありましたけど、コロナウイルスで家にいる機会が増えたことから最近ますます好調なようで、
その日曜大工的なことが得意なゲストを紹介するアオリ文句で「その実力はセミプロ級!」って書いてありまして、そもそもセミプロが既にプロとして賃金は発生しませんが腕前はプロ級!って意味なのに さらにセミプロ級っていうのがもう意味がわからないんですね。
DIY業界が盛んになりすぎたから実力も細かくランク分けされて、いや彼はセミプロとするにはまだ実力不足!よってセミプロ級じゃ!ってことなんでしょうか。だとしたらそれは褒め言葉なのかしら。
そんな私はDIYな仕事をしていますけど、木材で何かを作ることも大好きでして、なんなら焼き物を作るよりずっと好きです。
というのもまず完成品に責任が伴わないというのが大きな魅力で、その次に作った瞬間完成するというのがよくて(陶芸だと作り始めてから完成するのが1ヶ月後とかになる)、極め付けは私自身のDIYスキルの伸び代が大きいということですね。
何かをやり始めた時というのは分からないことが多くて思うようにいかず、その入り口で挫折する人が多いのですが、その段階を超えると色々と理解できるようになり、自分なりの工夫やアレンジを自由に試せて、できることが目に見えて広がり続ける一番楽しい時期があって、
そしてある程度の技術を習得したら そこから先は積み重ねる作業と言いますか、レベルが1段階上がるのに今までの何倍もの時間がかかるようになるので、ここでどう向き合うのかが大事なところですね。
てなわけで 私の木材を使ったDIYは、ちゃんとしたものを作らなくても良いということで もう正解とかマニュアルとかいらないから全部自分流でやったんねん!ってことで大変に楽しく、そしてよく失敗するのですが、その失敗も自分の範疇で迷惑なだけなので全然問題ないのです。しかも木材のいいところは 失敗したら またそこから修正したらいいだけですものね。
そんな私はホームセンターが大好きでして、ホームセンターは街中のテーマパークだと思っていて、実際にテーマパークよりも断然好き、かというとそこはテーマパークもまためちゃくちゃ好きでして、見かけるだけでテンションが上がります。
テーマパークが提唱するテーマに100%乗っかって浮かれ倒すということは私の精神的な不具合により残念ながらできないんですけど、その世界観を作り上げているセットの造形とか演出とか細かい気配りなどを見てると楽しいですし、来てる人たちも協力して共同幻想を作り上げてくれるのもとても好きです。
番組では自分たちでDIYできるという触れ込みの、床とか壁紙とかの最終仕上げをしていない ベニヤ貼りの部屋を売っている不動産屋を紹介していたんですけど、未完成品を売るということで、これは大変に大事なことだなあと思って、
完成されたものは最初がマックスみたいなところがありますけど、未完成な状態から自分の好みに仕上げるという着想の段階と、だんだんそれが形になっていく途中段階が一番楽しく、
未完成品だからこそ自分の頭の中で描く完成品は 現実にはない理想の形を持つことができて、そのイメージとともにいられることが一番楽しいんだと思います。
だから完成しちゃうと幻想が壊れてしまって、例え理想通りの部屋ができたとしても いずれはそれに飽きるので、その時はまた現実の方を壊して幻想を蘇らせて って繰り返しをしていくのが 楽しみ続けるということなのかしらと思いました。あるいは永遠に完成しないものを作り続けるとか?
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目
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