あがの焼窯元 庚申窯(こうしんがま)

体験レポート

焼物に関する雑学を紹介します。

ランダの仮面を陶器で作ろう

2014.07.15

前回の石仮面に続き またしても趣味全開の仮面を作ってみました。

民族伝承 民芸品大好き 庚申窯3代目(仮)コウヅルユウタです。

 

 

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今回作っている「ランダ」とはそもそもなんなのかと言いますと

インドネシアはバリ島にて伝えられる「魔女」のことでして、人間に災いをもたらす

どちらかというと暗黒面の人で、もう一方の聖なる存在「聖獣バロン」と 永遠に戦い続けている霊的な存在 というものです。

 

この話も好きなのですが なによりそのお面のデザインが秀逸で、民族学博物館の出張展示で見かけて 欲しい! と思い、しかしバリ島に行くことはないし 国内で買うのも違うと思い  作ってみた次第です。

 

 

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基本的に石仮面のときと作業は同じです。

 

しかし写真のなかのiphone画面を見てわかる通り 豪華絢爛な飾り付けで南国の豊かさ・パワフルさがにじみ出ているようで、とにかくこの原作のパワーに負けないためには 盛り込み×盛り込み の手数の多さがカギです。

 

つまりやればやるだけいい!ってやつですね。やりすぎでちょうどいいなどございません。どこまでやっても終わりなどない。まるでランダとバロンの戦いのようではございませんか。

 

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どんどんやればやるほどいいとは景気の良い話で、そうなったら音楽も景気のいいものを聞かねばなりますまい。

 

BPMがはやくてやれることやりすぎててうるさ  にぎやかな音楽 と 思ったときにインドネシア発祥の音楽「ファンコット」をついに聞く時が来たか! と 思い早速かけようとすると不勉強ながらipodには入っていないのでyoutubeで流すことに。それによってiphoneの画像を離れオリジナルランダの追求をめざします。

 

 

 

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幸いにもこの日は他にだれも工房にいなかったのでドコドコした音量高めな音楽に合わせてどんどんよくなっていきます。

 

 

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ある程度 表が進んだので裏を削ることに。

本当なら「削る」だなんて不景気なことはしないで分厚いまま焼いて窯で破裂して「ランダが降臨した!」なんてトランスしたことをやるべきなのでしょうが、初志として仮面が欲しいのでおとなしく削ることに。

(粘土の塊を焼くと水分が抜けきらなかったり、空気が混入していたり、表面と中心で温度差ができて収縮率が変わるなどで割れたり、ひどいときには爆発して他のやきものにもダメージを与えてしまいます)

 

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お次は絵の具の発色を良くするため「化粧土」という白い液状の粘土を表面に塗っていきます。

 

 

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1〜2日置いてその化粧土が乾いたら細い棒で表面を削り模様を彫っていきます。「掻き落とし」といわれる上野焼はじめ様々な産地で見られる伝統技法です。

 

 

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裏を削ってもかなり分厚く作ったので40日ほどじっくり乾燥させて素焼きに(800℃)。

素焼きのものを紙ヤスリで凸凹を削って滑らかにします。

ちなみに左はランダと対のバロンです。どうせなのでバロンも作っておきましたのでそちらは後ほど。

 

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さて  なんとランダの方が裏に大きく亀裂が入ってしまいこのまま本焼き(1230℃)にすると割れてしまう可能性大だったのでバロンだけ本焼きに回し、ランダは素焼きにアクリル絵の具で装飾することに。

 

 

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すっかり日が暮れてやっと完成。一ヶ月以上 点眼ちゃんだったからやっと黒眼が入ってそれっぽいかんじに。

ラメも多用しております。ラメってなんか景気良さそうな感じしますよね。

 

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最後にスプレーニスを振りかけて完成

アクリル絵の具がやきものにこんなに塗りやすいとは新たな発見でした。

 

 

仮面なのでとりあえず試着。

妹のウィッグがあったのでとりあえずかぶってみたもののボリュームに乏しいですね。この20倍くらいは欲しいところです。

そしてニス臭くてつけてられません。

もしかするとこのニスを嗅ぎ続けることによって第三の目(チャクラ)がひらいて新世界に飛び立てるのかもしれませんが重くて耳がちぎれそうなので断念。

 

でも気に入っているので部屋に飾っています。

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