あがの焼窯元 庚申窯(こうしんがま)

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大人ミリタリーと機能美の話

2021.02.15

本日のBGM John Coltrane - I’m Old Fashioned

 

私のフリーメールのアカウントも例に漏れず、 不必要な商用のメールが毎日大量に届けられているのですが、その中のタイトルの一つに大人ミリタリーという言葉を見つけまして、大人ミリタリーってなんだ!?ミリタリーってそもそも大人のものじゃねえのか!?と思ったのですが、

 

ここでいう大人とはナイスミドル、端的に言うと中位年齢以上のおじさまのことを指すみたいで、おじさま世代の人が着るのにちょうどいいミリタリー感のコーディネート、ミリタリーな格好をするなら あんまりガチすぎるのはNGよ、ノーグッド、イケてないわ ってことで、たぶん上下迷彩にモヒカンとかはダメってことなんでしょうね。

 

画像1

 

大人ミリタリーコーデという一覧を見ていると、如何にミリタリー感を緩和するか というのが大事みたいで、取り入れるミリタリーアイテムは1点までで、そのほかはミリタリー感を相殺するために 優しめかつ爽やかめな服でバランスをとっていて、まあ ほとんどが迷彩か草色のジャケットを着てるだけなんですけど、

 

提案されているコーディネートはどれもミリタリージャケットを脱がせば 改めて提案されなくてもいいような無難な格好なわけで、大人ミリタリーというパッケージにすることで新鮮に見せてくれているということなのかしら。

 

そのパッケージはおじさまたちの心をくすぐるのかしら?男たちはミリタリーを欲しているのかしら。あるいはミリタリーは男らしいのかしら。

 

軍服のように ある目的と機能を持った形というのは やがて洗練されて美しくなるという「用の美」的な考えは好きなので、大人ミリタリーを民藝陶器に例えるなら 昔ながらの無骨な すり鉢をモダーンな玄関にインテリアとして飾るみたいなもんでしょうか。

 

機能の追求というと、人間というのは立ち姿が相手に対して最大面積を向けるから戦う形としてはあまり良くないそうで、それで新兵たちには ほふく前進の訓練があるわけで、そのほふく前進でどうせ汚れるから そんならもう最初から土の色で服作っちまえ! ってできたのがカーキ色の軍服になるわけで、

 

土の色、つまり黄土色がカーキ色で 昔の軍服は黄土色で作られてたから軍服のことをカーキ色と呼ぶようになって、やがて森林での戦闘が増えたので迷彩柄が導入され、基準の軍服もオリーブグリーンな緑色になって、

 

でも軍服がカーキ色だという認識が残ってるから、オリーブグリーンのことをカーキ色と思うようになって、今もどこかでミリタリーあるあるとして語られるようになりましてん という感じで機能の追求で軍服も変化したわけですが、

 

すり鉢もゴマをすってみて初めてその機能に気づくわけだから、ミリタリーファッションも やはり山で着てその効力を確かめたいですよね。森の中で迷彩服を着たら本当に見えづらくなるのかしら。逆に都会の迷彩というのはどんな格好になるのかしら。都会で見つけにくくなる服というコンセプトも面白そうですね。

 

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

 

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